私の場合は年に1回の定期健康診断で高血圧と診断されたり、50歳になると受ける眼底検査で動脈硬化と診断されていました。
健康診断後には特定保健指導を受け、生活習慣の改善が重要だということを教わり、適度な運動をしたりバランスの良い食事などを意識して日常生活を送らなければならなかったのに、心の甘さと間違った知識で高血圧を放置…
こんにちは、ままん(@takamaman52)です。
今回の記事は、今から3年前に高血圧や運動不足が原因で発症した、大動脈解離(だいどうみゃくかいり)という命に関わる病気に関する体験談です。
大動脈解離の発症から入院・手術後の様子
ストレスや塩分過多、大量飲酒…様々な原因の積み重ねで大動脈解離を発症してしまうのですが、ほとんどが動脈硬化症によるものだそうです。
動脈硬化症は運動不足、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病が起因しています。
さらに高血圧、脂質異常症とともに喫煙も動脈硬化の大きな原因です。
今となって思い起こせば、高血圧を改善するチャンスは何度かあったけど、「血圧の薬は飲み始めるとずっとで大変だから飲まない人も多いよ」「家系的に血圧が高い系統だよね」などという雑学に流されてきていたのでした。
大動脈解離の発症
七月半ばの午前9時頃、まだ夏の日差しが強くなる前の時間でした。
普段通りに車を運転して最寄りのスーパーの朝市に食料品を買い出しに行った帰り、自宅の駐車場に車を停めたと同じタイミングで突然!胸の痛みが…
胸のあたりで突然、障子紙が破けたような鈍い痛みがして、そのあとは車を降りて玄関まで(30歩程度)なんとか歩いて帰り倒れこみました。
たまたま週末の午前中だったので、息子も娘も家にいて母の異変を察知できたのが幸いでした。
すぐに市民病院の救急外来に駆け込み、診察を受けた時にはすでにバイタルには異常が出ていたそうです。
造影CTで検査したところ大動脈解離を発症したことがすぐに分かり、心臓血管外科のある大学病院に救急搬送されました。
突然の救急搬送からの入院・手術となり、子ども達は手術の承諾書をはじめとした様々な署名を体験。
主治医の先生からの後日談では、手術の説明をするときに、死亡率などをまだ20代の息子に話すのが忍びなかったことなどを教えてもらいました。
病名は、急性大動脈解離StanfordA
手術は、上行・部分弓部人口血管置換術
手術前はICU(集中治療室)で、絶対安静の投薬治療と手術の準備のための処置や精密検査を10日ほど行い、手術後はCCU(冠疾患治療室)に移りました。
私の場合は、運動不足と高血圧の放置、お酒は若い頃から好きで喫煙歴も長い…そして、そんな生活でもまだまだ50代半ばですし…
体はまだ若いなどと思っていたので完全に生活習慣病です。
- 仕事が忙しくて運動する時間が無いよね〜
- 家系的に、親も親戚も血圧が高めなんだよね〜
- 晩酌は欠かせないよね〜
- ヘビースモーカーじゃ無いけど、タバコが無いと寂しいよね〜
このような生活を生活をしている中高年のかた!
突然!もし身体の中でも最も太い血管である大動脈が裂けて、裂け目が破裂してしまったら、病院に搬送される前に命の危険が!
ICU(集中治療室)で体験したせん妄
ICUに運び込まれると、たくさんの点滴による絶対安静の治療が始まりました。
急な入院、緊急手術やICUなどの閉鎖された病室での投薬治療などの環境に置かれ、昼夜が逆転して幻覚や妄想、変な夢を見たり、自分が今病院にいることを忘れて可笑しなことを言い出すことがあるそうです。
私の場合は、手術前の投薬による安静や精密検査の期間が2週間ほどあったと思うのですが、あまりしっかりとした記憶が残っていません。
昼か夜か分からなくなる夢をみたり、病室なのに違う景色に見えたり、もう帰れる錯覚の中にいたりしていたことを、うっすらと覚えています。
点滴の針を自分で引き抜いてしまい両手を拘束されてしまった現実の苦痛、自分では覚えていない妄想、そんな体験をしました。
「せん妄」というそうです。
手術室に運ばれる直前に息子の顔を見たことをうっすらと覚えていますが、その後に手術室に運ばれた記憶は無くて、気がついたときには手術後の治療室(CCU)にいたという状況でした。
胸骨正中切開後の痛みとリハビリ
手術後は、安静による筋力の低下があるため、自宅での生活に向けてリハビリが始まります。
解離した大動脈を人工血管に置き換える手術は、胸の真ん中の骨を切って胸を開いて行う大手術です。
手術が終わり気がついたときには、胸の真ん中に首の付け根からみぞおちの上まで手術痕ができていて、ショックを受けました。
絶対安静の手術前後の日々は点滴による栄養補給でしたし、管(チューブ)に繋がれベッドで横になったきりだったので、手術後初めて体重測定をしたときには体重が10kg減っていました。
特に足腰の筋肉や脂肪が落ちていて筋力も弱くフラフラ…ですから、歩行訓練は看護師さんや理学療法士さんの付き添いがないととても歩けない状態です。
CCUから心臓血管外科病棟に移ると、理学療法士さんなどの指導によるリハビリが始まりました。
最初は、病室の中でできる呼吸の練習や、椅子に座ったままできる足踏み。
その後、車椅子でリハビリ室まで連れて行ってもらい、歩行訓練や呼吸の体操などをしました。
- 呼吸のリハビリ
胸の骨を切り開いたので、息をするたびチクチクとするような小さな痛みを感じ、大きな深い呼吸ができない状態です。呼吸機能が低下しているので、痰が詰まりやすく、また痰を吐き出すことも大変な状態です。喉もツバの飲み込みや食事の時の嚥下もむせやすく誤嚥をしやすくなっている状態です。なのでリハビリが始まったらなるべく早い時期に肺の中にたくさん空気を入れて、肺の働きを元に戻していくことが大切なのだそうです。
呼吸練習器具を使用して(病院で紹介されました)、起きている時間に意識的に呼吸の練習をしていますが、一度弱くなった肺活量を取り戻すには、訓練の回数と時間が必要です。
- 歩行のリハビリ
心肺機能がよくなり血液の流れがよくなります。
落ちてしまった筋肉を取り戻し骨が鍛えられます。
先生や理学療法士さんの話を聞いて、頑張り過ぎずに適度な量の運動をしていきます。
リハビリ室では、階段の訓練や自転車をこぐ器具(自転車エルゴメーター)での有酸素運動を少しづつ行いました。
退院後の日常での注意点
入院から約1ヶ月余りで退院となりました。
家庭生活での注意点
- 胸の傷に障る動作や運動に注意
退院後の日常生活では、手術後の胸の傷が開かないように、重たいものを持ったり体をひねる運動は避けるように注意します。
実際に家庭内で軽い家事を始めると実感するのですが、〝片手でフライパンを持って調理する〟〝片手で掃除機をかける〟などの動作が胸の傷の痛みで出来ませんでした。
車の運転は、万が一事故に遭いハンドルが胸に当たったり、シートベルトが胸を締め付けるなどダメージが大きいので避けます。
- 手術跡の傷口は清潔に保つ
傷口を清潔に保つために、入浴のときには泡のボディソープを手のひらに取り、手のひらでやさしく撫で洗いします。
熱いお湯での入浴は血圧が上がりますので、40度程度のお湯に入ります。長風呂も心臓に負担がかかるので避けます。
- 血圧の管理・塩分に注意
血圧計を使って、毎日の血圧の記録をしていつでも主治医に相談できるようにしておきます。血圧は、平常時で120mmHgまでを保つように心がけた食生活に努めます。
食生活では、塩分の摂取量は1日6g未満となっていますから、食べ過ぎに注意が必要です。
ハム・ソーセージ・漬物など、特に塩分の取りすぎに注意するよう、家族の協力も大事です!
- ストレスを避ける・禁煙
無理をせず休憩と睡眠を十分に!入院中にタバコから離れた経験を継続しよう!
退院までの約1ヶ月間、病院生活ではタバコから隔離されていたので、そのままの流れで現在は禁煙できています。手術後、肺機能が弱くなっているので喫煙する気にもなりませんでした。
- 軽い運動を心がける
運動ができる血圧は130mmHg以下です。
軽い運動をすることで血行を良くし血圧が下がり、筋肉や骨が鍛えられ日常生活の動作がしやすくなります。ストレスの解消にもなります。
弱った心肺機能も回復してくるので、無理のない範囲で運動を心がけます。
坂道が多く外散歩は大変なので、部屋で気軽に運動できるようエアロバイクを購入しました。
退院後の通院と降圧剤
約30日で退院のあと、2〜3週間に一度ごと通院し手術後の検査をしました。発症から2ヶ月半過ぎ、手術後の状態が順調に回復してくると大病院から、かかりつけ医に病院が変わります。その際は、今までの主治医が治療状況などのお手紙を書いてくれます。
胸の手術跡は、3ヶ月近く経ってもまだ痛みが残っているし、日常生活もまだリハビリの状態ですが、血圧を正常に保つために降圧剤は欠かせないお薬になるので、最寄りの開業医の先生に定期的に通院できるようになることは安心なことです。
そして、大学病院への通院は半年ごとになりました。大動脈解離の手術後は半年に一度定期的にCT検査をします。そして、この検査はずっと続いていきます。
血圧高めを放置しているかた、生活習慣病をなかなか改善できないで過ごしているかた。命に関わる病気が日常生活の途中に突然襲いかかってくるかもしれません!生活習慣病、動脈硬化、高血圧…思い当たったらすぐ改善しましょうね!