運転免許証を何歳の頃に取得しましたか?
教習所で学んだときのことを覚えていますか?
楽しかったですか?
自動車運転教習所で普通運転免許を取得するため、大学4年の人生最後の春休みに合宿免許を取りに行った私、ARENです。
私の、教習所あるある体験談をエッセイ風に書いてみました。
合宿免許教習所の所在地は海を渡った太平洋の島
乗り物酔いをする体質の私は、孤島に渡る船旅時間を考え、海上移動距離最短ルートを選び、朝イチの高速船に乗って島に向かうことにした。
初日(島へ)
ジェット船は海面から少し浮上して進むから運航中は揺れが少ない。
だいたい40分くらいで港に到着した。よく晴れている。
島に到着から宿泊所の部屋に入るまで
港に教習所の迎えが来ていた。
赤い旗に教習所の名前が書かれていて遠くからでもすぐ分かった。
めちゃくちゃ鼻をすするおじちゃん(鼻をスンスンすするため以下スンスンと表記する。)と「ちょっと待ってて(スンッ)、あと二人(スンッ)来るからね(スンッ)」、「今日(スンっ)天気いいね(スンっ)」なんてゆるく話しているうちに男の子が二人来た。
一人はメガネボーイでもう一人はセンター分け。二人ともおとなしい。三人揃ったところでスンスンの運転で教習所へ向かう。送迎車の中から教習車が路上を走っているのが見えた。2週間後には自分も路上を乗りまわしてるのかなと思った。
(乗り回すどころか君は40キロ道路を常に徐行していたよ。)
めっっちゃゆっくり話す校長先生に時間割、授業の受け方、卒業までの流れなどについての説明を受ける。しかし校長の話し方が優しい…
眠くなる。眠い…
「ここに時間割があるよ。今日受ける授業は、ここに書いてあるよ。教室は、ここだよ。絶対に受けないと、ダメだよ。…」
校長の「こもり歌」説明が終わってから宿泊所に移動、昼食を食べたら送迎車に乗り午後の授業に参加するらしい。
部屋は少し古臭いが普通の一人部屋。トイレはカビ臭い。昼食までどうしたものかと考えながらなんとなくベッドに腰掛けるとメキィ…とありえないほどに軋む。
尾崎豊も驚くほどの軋(きしみ)っぷりだ。
とてもじゃないが「優しさを持ち寄ってきつく身体を抱きしめ合っている」場合ではない。己の体重を懸念していると「ガガ…ピー…昼食の用意ができました、昼食の用意ができました、食堂の方へ、どうぞ。」とボッソボソの放送がかかった。
そういう仕組みかぁ。カイジっぽい~と思いながら食堂へ。
童顔のぼっち娘は平成一桁世代
昼食のため、割り当てられた1人部屋から食堂へ移動した。
1日目の昼食
島の教習所には十人くらいの教習生が、それぞれの進度段階で合宿していた。春休みのこの時期は、高校の卒業式も済んでいるし、大学入試も終わっていて結構混む時期だったのかもしれない。
教習所の島で何日か先に暮らしている先輩がたが「お疲れ様ですー」「麦茶飲むー?」と最初っからフレンドリーに食事準備を進める。
親しみやすくてよかった~と思いながらニコニコとおしゃべりしながらご飯を食べる。
ちなみにこの時のメニューは、白米に豚肉を卵でとじたものと鳴戸を乗せたものだった。
「一人で来たの?」、「そうだよ~」、「そっか、春休みだもんね」、「うん」と可愛いポニーテールの子とおしゃべりをする。「次大学?専門?」…
恐れていた問いだった。
…あ~、えっとね一応今大学生なんだぁ(卒業していないから嘘ではない)
「えっ、マジで!?同い年か下だと思ったわ!一年生?」…可能なら一年生だと答えたかった。悲しいことに私は四年生だ。しかも卒論も書き上げて卒業待ちの大学生末期だ。
私は俯いて自白した。めちゃくちゃ爆笑された。
教習所の運転適性検査
先ほど童顔さが招いた悲劇を語ったが、実際のところ童顔でよかったと思う。
教習中は教習簿という教習の進み具合や教習生の情報を記録する書類を常に持ち歩くのだが、この教習簿を見て驚いた。
平成一桁生まれがいない。
見渡す限り二桁生まれである。「えっ、平成8年生まれ??化石かな??」と言った具合である。一桁生まれという烙印を持って顔まで老けていたらいよいよ馴染めなかったと思う。
ストライキだった成長期に感謝する。
教習、適性検査
まず最初に適性検査を受ける。
これは運転に関する適性を間違い探しや図形を短時間に書き続けるなど、様々なテストから調べるもので、簡単な性格検査も最後に行った。
間違い探しについては、左右に「アイウエオ」「アイエウオ」などと書かれているので違いがあるものにマークをするというものや、原図として示された画像と少しでも違うものにマークするものなどがあったが、この原図と比べて違うマーク探しが難しい。
何が違うのかさっぱりわからない
よく見ると輪の大きさが違う気もするがわからない…見れば見るほどにわからないし、そもそも円ってこんな形だっけ?と快調にゲシュタルト崩壊した。
そして最後に性格検査。
(…死にたくなることもあるさ。人間だもの。)えっ、これ逆にならない人いるの!?メンタル鋼かよ!でもこれはいにマークしたら明らかに情緒不安定じゃない?いいえにしとこ…。
勘ぐりを入れて虚偽の回答をしつつ適性検査は終了。
結果は「運転に支障はありません。」でよかった~と思っていたら「行動の正確さ」、「行動の遅さ」、「行動の速さ」に難あり。
つまりは「行動が大雑把で、かつせっかちであり、かつ行動に素早さがない」。
せっかちなくせに行動がトロイ謎の人間が誕生してしまった。
なぜ運転適性に問題がないのかわからない。問題しかないじゃないかと思いながらもう一度結果表に目を移すと「自分をよく見せる傾向あり」。
なんで??何からそんなことが分かった?と試験内容を逡巡する。
(…死にたくなることもあるさ。人間だもの。)えっ、これ逆にならない人いるの!?メンタル鋼かよ!でもこれはいにマークしたら明らかに情緒不安定じゃない?いいえにしとこ…。
…まさに自分をよく見せている瞬間だった!
完全にハメられた!
こんなことになるなら毎日だって死にたくなりますよ!!!と元気に回答しておけば良かった。虚偽の回答によって得られた問題だらけの人間の称号を持って今後の教習に臨むのだ。
教習所1日目に初めての技能教習
自分をよく見せたがるトロイせっかち人間が車に乗る。この世の終わりのような状況だ。
初めての技能の教官はこの教習所では貴重な若い先生。大きなホクロがついた瑛太くん風な顔立ちである。
初めてということで車に乗ってみよ~というかなりかる~いノリである。
「車がどうやって動くかって、知ってる?」、「えっとぉ…何か…燃料をこう…爆発させて…その熱量?エネルギーのようなものをなんかこう…利用して進むみたいな…」
とダイナマイトの話でもしているかのような会話を繰り広げながら外周コースをぐーるぐる。
この日はとりあえず発進して運転してみればOKということで、無事に第一回目の技能教習をクリア。
1日目の夕飯
餃子だった。
ご飯がまずいまずいと聞いていたわりには普通の味、というよりは冷凍餃子のいつもの味で非常に安心して食べられた。レトルト、冷凍の味はとりあえず安心。
味噌汁はなぜかいつも冷たい上にコンロの火がつかないため皆味噌汁をレンジでチンして温めている。レンチンした味噌汁うまい。
空き時間から消灯まで
初日は夕食が終わると、もう授業はない。
入浴、就寝
水しか出ないじゃない!!!!!!
と叫ぶや否や急に熱湯になるじゃない!!!!!と叫ぶ。初日の風呂は阿鼻叫喚。最終的に限りなく水に近い湯で済ませる。
修行入浴を終えて軋(きしむ)ベッドに横になる。こうして記念すべき免許合宿の初日が幕をとじた。
合宿免許1日目のまとめ
合宿免許のスケジュールは、最短でだいたい2週間。
春休み期間は、高校生や大学1〜2年生(20歳前)の子たちばかでしたが、島の教習所の宿泊設備は古いが、1人部屋だったので気を使わなくて楽でした。
気をつける点は適性検査でのゲシュタルト崩壊とひっかけ問題
真剣に見れば見るほど、原図との違いがわからなくなり、そもそも原図はどんな形だった?と、外観から崩壊してしまうのだ。初めての教習所では、あるある話なのだろうか…
落ち着いて参りましょう。
運転適性検査は、自分の心を素直表すための検査。
良い子の答えを書こうとすると、必ず本心がバレます。
そもそも、「あなたはこういう適性をお持ちですから、運転にはこんなところを気をつけましょう!」のようなことを教えてくれるのが「運転適性検査」なんですよね。
ということで、運転適性検査には素直にありのまま解答したほうがいい。