彼岸花を摘んできた日の娘の思い出。
娘がまだ幼稚園のころの9月のある日の休日に、近所に咲いていた彼岸花を私へのプレゼントに摘んできてくれたことがありました。私が仕事から帰宅してみると綺麗な赤い花束が摘んできてありました。私は、彼岸花を摘んで大丈夫?毒があるの?縁起が悪い?とドキッとしました。『綺麗なお花をママへのプレゼントにしようって』と小さな手で握れるだけ摘んで、お留守番を楽しんでいた娘の優しさがとても嬉しく愛おしくて叱ったり心配した気持ちを打ち明けたりすることはできませんでした。
秋のお彼岸のころになると自然に顔を出す野生の赤い彼岸花
家の近所には狭い路地の土手や川べりの日の当たる場所に、秋のお彼岸の頃にいつのまにか顔を出します。気がつくと赤い花がたくさん咲いて、彼岸花を見るとお彼岸のころだと季節を感じます。
子どもたちにはこの時期の彼岸花だけでなく、春のつくしやたんぽぽ、夏の紫陽花やアザミ、冬には庭の水仙(スイセン)など草花を見つけるたびに花の名前や香り、とげがある、食べれない、食べられる…とか遊びの中で会話をしてきました。
彼岸花にも紫陽花にも水仙にも、口に入れたらいけない毒があります。
食べてはいけない部分や触れるとトゲがあったり、痒くなったりする植物などいくらでも身近にあります。
反対に、これ食べれるの?と思うような草花が口に入れても平気だったり…
本で見る知識とは違う実体験は日常の中にある
子どもは、不思議なものをちょっとだけ口に入れて味を確かめたりしてしまうことがあるかもしれませんが、マズいものや危険だと舌が察知します。子どもの舌は大人よりもずっと敏感です。そのようなものを好んで大量に食べてしまうことは考えられないと、私は思います。
トゲがあったり痒くなったり、食べてはいけない草花を小さな時の育児の中で教えてあげることが大切なことだなと思います。危険な植物に触れて痛い思いをしなさいということではないのです。人間は本来、動物的な直感があるはずです。私がおばあちゃんになったら孫にそうしてあげたいなと思っています。
子どもたちの心の底に笑顔の種をまこう・潜在意識
もしも娘が彼岸花を摘んできたあの日、『毒があるから触ってはダメ、こんな花を摘んできて!もう採ってきちゃいけないよ。』と言葉にしていたら、娘の無垢で優しい笑顔はなかっただろうと思います。花を摘んだらママに叱られるという記憶だけが残っていたかもしれません。
『赤いお花、綺麗だね、ママはとても嬉しいよ、あなたは優しいね』
あの日、ちゃんとこう言えて本当によかった。
秋のお彼岸のころに顔を出す赤い彼岸花を見ると私は、『お彼岸だ、もう季節が変わるよ、祖母のお墓まいりに行かなくちゃ』と祖母の笑顔を懐かしく思い出します。
私の子どもたちが親になったらどんな日でも、『お外で遊んだあとは手をよく洗いうがいをしようね』とだけ伝えて、季節になると顔を出す草花と楽しく過ごせるようにと願っています。
(2001年9月のある日の思い出を振り返り)