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合宿免許に行った人生最後の春休み3月|一人ぼっちで挑み鬼教官に涙

暮らし

第二話の「合宿免許で運転免許証を取りに行った初日の教習所あるあるエピソード」に引き続き、第一段階から仮免許取得までのパート3を書いてみました。

わたし(AREN)は、人生最後の春休みに運転免許取得に挑んだ大卒22歳。

高校卒業の前に最寄りの教習所に行く余裕なんて、国公立志望には無縁だっていう時代背景。そんな時代背景が今後はあるのかどうかは分かりませんが、合宿免許ってこんな感じだよと誰かに伝わればいいなと思います。

仮免所得までの第一段階には、技能教習1〜23までの項目があります。

今回は技能教習の8での出来事です。これから合宿免許を取りに行くかたの参考に、また運転免許のあるかたは、教習所を思い出して笑っていただけたら幸いです。

合宿免許|まだ第一段階の項目8で鬼教官と遭遇の意味

教習生の朝は早い。

毎朝7時に「ガガぉはようございます。おはよう朝食の準備ができました。食堂の方へ、どぞ。」とアナウンスが流れ、教習生たちが部屋から放たれるのだ。

食事を済ませ、各々時間割に合わせて準備を整え、宿泊所から出る送迎車に乗り込み教習所へ向かうという流れになっている。

路上教習を行うにあたって必要となるものが仮運転免許証、通称仮免である。

この仮免を取得することで、運転免許取得のための路上練習が可能になる。そのため教習所内での教習を行う第一段階では仮免取得が目標となるのだ。

仮免許取得までの第一段階技能教習8|カーブや曲がり角の進行~

各時間の教習にはそれぞれ番号が振られており、一つの番号をクリアすると次の番号の教習を次回行うという形になっている。

教習所内で行う教習のうち、1番から6番は車を運転するための基本のようなもので、車の乗り方、正しい運転姿勢や操作の仕方から発進と停止、速度の調節など、トントン拍子に進む。癖の強い教官との所内ドライブを満喫といった感じである。

そして難関の教習項目7でうろたえた後の「8項目目」

現時点はまだ「第一段階」っていう…先の長さと恐ろしさ…

第一段階 教習項目1〜23までのうちの 8項目目

カーブやまがり角の通行

仮免許取得までの第一段階|8項目で鬼教官との遭遇

技能教習8 カーブや曲がり角の進行~鬼教官との遭遇~

 一難去ってまた一難、再び第一段階最大の山場が来た。カーブや曲がり角の進行である。この項目では緩やかなカーブや右左折のやり方を教習所内で学ぶ。ハンドルさばきの実践といったところである。

前回の復習項目と延泊確定によって私のテンションはガタ落ちだ。2週間もあればいいんじゃなかったの?延泊が永遠に続くとか…まさかナイよね?…という不安にかられている状況。

「なんかもう復習とかどうでもよ~」とやさぐれモード全開で車庫に向かう。

今回の教官は中肉中背、お顔立ちは少しお猿さん風。

「はい、それじゃあ乗って」と言われ助手席に乗車。私はまだ知らなかったのだ、この教官が教習生を些細なことで容赦無く落としまくる伝説の鬼教官だということを。

 鬼教官の片鱗はすぐに現れた。

「カーブを曲がるときに何を意識しないとならない?」「方向指示器を出すタイミングはいつ?」「ハンドルの持ち方はどうするんだっけ?」「ブレーキの踏み方は?」「車の前方の死角は何メートル?」「内輪差は後輪がどのくらい内側を通るの?」

多い。情報量が多い。質問が矢継ぎ早に繰り出され、口ごもるたびに大量の回答が返ってくる。脳が処理しきれない。なんならまだ学科で習っていないことまで質問が飛んでくる。助手席で教官の見本を見ているだけなのにどうしてこんなに疲れているのだろう、情報処理に追われて見本をまるで見られなかった。しかし本当の地獄はここから始まる。

 「はい!ハンドルを全部きる!!!」、「はい!!」、「もっと速く!!!!」、「はい!!!!」

車内は大変白熱していた。

実践ということで私がハンドルを握るや否や、何かの訓練ばりに指示が飛ばされる。教官が発する掛け声に従ってハンドルをグルングルンと回して勢いよく右折!左折!!再び左折!!!とにかく教習所内をぐるぐると曲がりまくる。

猿教官さる教官は矢次ばやに怒号を助手席から飛ばす。私はそれに応えて全力でハンドルを切る。世界一熱い教習だった。ダカール・ラリーばりに土埃を巻き上げ疾走しているような錯覚にすら陥る。

「はい、お疲れさん。」、「はぁはぁありがとうございました」。

50分間の激しい教習を終えて、私は息を切らしていた。昨日は涙を流し、今日は汗を流している。最高のデトックスである。

「うん、右左折はハンドルを切るのが遅いと」、教官からの公表を半ば放心状態で聞いていた。鬼のような情報量と指示に見事耐え抜きなんとか教習を終えることができた。大きなミスも恐らくはしていないはずだ。この教官は確かにとっつきにくいが、ここまで教えてくれるならありがたい。

良い教官に巡り会え「じゃあ、今やったみたいに次もやるんだよ。」、教官の微笑みとともに渡された教習簿には、8番の復習項目の欄にサインがされていた。

私は忘れていたのだ、この教官が教習生に代々語り継がれる伝説の鬼教官だということを。

復習を二日連続で受けてしまった、二日延泊である。私は震えた。(実家の猫に)会いたくて会いたくて震えるといった具合である。

教習所に住み着いた野良猫が私を一瞥して去って行った。

第一段階の教習項目は1〜23まである。そのまだ半分にも満たない8項目目に鬼教官が指導した意味はとても深いと感じた。

なぜかというと、この先の教習項目にはもっと難易度が高くなるから。一気に教習所で運転の訓練をしている現実感と、延泊の重圧が精神的なダメージとなっていった。

追記 鬼教官について

この教官は確かに鬼だった。

実は私の兄もこの教習所で高校3年の春休み頃に免許を取得したのだが、兄からもその鬼っぷりは常々聞かされていたほどだ。

合宿中にできた教習仲間の話では、教習を初めて一番最初に行う、ただ外周コースをぐるぐると走るだけの項目でさえ落とされる人がいるとのことだった。

路上に出てから技術が身についていないのでは本人のためにもならない。それはとてもよくわかる。その点で考えるならば、教習生を落としまくるこの教官は半端なことはしない良い教官だ。

教え方も非常に丁寧だ(理解できるとは言っていない)。

今回の右左折の件にしても、実際に走るときには隣に教官はいないのだ。全て自分で判断し、自分で車を動かさなければならない。

今となっては思うことだが、復習項目は全く妥当な処置だったのだろう。

この教官は教習生から嫌われていたが、その行動に悪意はなかった。あの多すぎる情報も指示も愛ゆえなのだろう。マリオネットのように考える暇も与えられず、訳の分からぬまま復習項目にされてしまったが、私はこの鬼教官を嫌いではなかった。

なぜかと言えば、正論だ。正論なのだ。鬼教官は訓練してくれているのだ。

親も何かを教える時には厳しかったりするが、結論は「思い」である。うっとうしくてうるさいと感じることもある。

もちろん泣いたよね。夜に合宿所の部屋で1人になって泣いたし、安全運転がこんなに難しいなら、もう免許なんて要らないしって思ったし!

でも、これだけは言える。

免許を取って、初心者マークを付けて初めて兄の車で「鬼兄教官」を助手席に乗せたときの方がもっと鬼だった…思いは時に愛だよね(笑)

こんなことなら、鬼兄の助手席で感覚だけでも掴んでおくべきだった。

 

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